佐渡ロングライド 2025 ②

さて、佐渡ロングライド当日の朝を迎えました。

昨夜は20時に床に入ってから、朝3時に携帯のアラームが鳴るまで一度も起きませんでした。

多分、前日のバス中泊でも眠れたものの、やはり熟睡と言う訳にはいかなかった影響かも知れません。久々にこんなに寝たと言うくらい熟睡する事が出来ました。

おかげで目覚めも体調もバッチリです。意外とバス中泊良いかも知れません。


お宿のご厚意で、朝食は朝3時から食べれる事になっていますが、白米とお味噌汁、ウィンナー等のおかずと納豆、卵、焼き海苔など。

朝から必要なものをしっかり食べる事が出来ます。有難いですね。


外はまだ薄暗いですが、だんだんと見えてくる空模様は良好な様です。

身支度を整え、皆で揃って宿を出発します。

今年、Positivoからは全員がAコース210㎞にエントリーしています。

初めて参加される方や、女性の方もいらっしゃるので、スタート後、其々の様子を見ながら走ろうと考えていました。昨年の様な最速チャレンジは一度で十分です(笑)

そしてスタート!

A1エントリーの我々男性陣は、最初のグループでスタートする為、後ろのA2エントリーの女性陣とは少し時間差があります。

見たところ、男性陣はまとまって良いペースで走って行きます。

普段から毎週一緒に走っているメンバーなので、それぞれの走力もお互い知っていますし、今回初合流のIさん(男性)も、走れる方と認識しています。

皆最初から飛ばし過ぎず、さすが何回も走られている方達ですね。走り方を良く知ってらっしゃる。

そんな事を考えながら、最初のエイドの相川ASに到着です。

今年は全部のエイドに立ち寄り、提供される補給食を全種類頂くと言うのが、自分に課したもう一つのミッションです。どーでもいいのですが・・・


ここでは、ここのところ毎年振舞われるワカメ蕎麦とオニオンスープ、おかゆがあるとの事ですので、早速ワカメ蕎麦コーナーに直行します。

食べ切り易いように小さな器に盛られた温かい蕎麦にはワカメが入っていますが、いやぁ旨いです(笑)

お代わりしたいところですが、次おかゆが待ってますのでおかゆコーナーへ・・・あれ?

見間違いか、明らかに蕎麦ではない麺類を食している方がいます。

あーっ!!ラララ・ラーメン!!ラーメンコーナーがあるじゃないですか!聞いてないぜ・・・

無類のラーメン好きな私ですので、もちろん並んででも頂きました。

香ばしい味噌の香りと中太麺のコレは札幌系か・・・

そうこうしている間に、男性陣は次々とエイドを出て行きます。

むむむ・・まだおかゆが・・・

先は長いし、まだ女性陣も来るし・・と言う事で、おかゆを優先する事にします。

程無くして、女性陣ことIさんとAさん到着です。

スタートの時間差と、到着の時間を計算してペースを想像しますが、割といいペースで走られている様です。

ブルぺで経験豊富なIさんと、昨年130㎞無事完走、今年初の210㎞に挑戦するAさんですが、二人だけで走っている様なので、彼女達と走る事にします。


相川ASを後にし、次なるエイドの入崎SSは42㎞地点、23㎞先を目指します。

幸いな事に比較的強い追い風が吹いており、あまり脚を使わずにいいペースが維持できます。

でも、ここで追い風と言う事は、島の反対側の海岸線は向かい風が予想出来ますので、なんだかそれも心配です。

追い風に乗ってスピードもアゲアゲで行きたいところですが、あえてそうせずに省エネ走法で進みます。


あっという間に入崎SSに到着しました。

ここはスイーツステーションを略してSSとなりますが、名前通りスイーツが用意されています。

きな粉餅、カップケーキ、お饅頭などなど。

きな粉餅とカップケーキはすぐに食べましたが、お饅頭はラップで包まれていたので背中のポケットに入れて走りながら食べる事にしました。地元相川のお菓子屋さんの物だそうです。

後で食べると餡子の味が凄く美味しかったので、もう2、3個貰えばよかった・・

お二人の顔色も良好な様子なので、お手洗いを済ませてすぐに出発!

次はいよいよZ坂がある区間ですので、ペースを上げ過ぎずに慎重に走る事に注意します。


追い風は相変わらず強く、意図せず時速40㎞程になる事もしばしば。

ハッとして後ろを振り返りますが、女性陣は笑顔です(マジか・・)

これはAさんの完走チャレンジも安泰なのかと一瞬考えましたが、いやいや、まだ残りは160㎞くらいあります。

後半、どんな疲労が襲って来るかまでは分かりませんし、自分の感覚を当て嵌めるのは禁物です。

暫く一定のペースで走り、いよいよZ坂が見えてきました。

ここはこのロングライドでも難所の代名詞的な坂ではありますが、実は景色も素晴らしく、上から見下ろす湾の風景は素晴らしいのです。

ブルぺで経験豊富なIさんが、イーブンなペースを刻みます。

Aさんも登りは比較的良い走りをされる方なので、逆にペースを上げさせないよう注意する必要もありますが、心配はない様です。私も先回りして撮影をする事なども出来ました。

この様子なら、次の難所の大野亀も良い感じでパス出来そうです。

Z坂から大野亀までのルートには、急カーブのある比較的高速なダウンヒルがありますが、強風の中、ハンドルを取られてドキッとする個所もありました。

そして現れる小さなトンネルを二つくぐれば、北の景勝地、大野亀が現れます。

とても雄大な景色のここにも、14%前後の区間もあるキツイ坂がありますが、ここを登ればご褒美があります(400円必要ですが・・笑)


そして次のエイド、鷲崎ASまで来ました。

実はここに到着する直前、Iさんの背中のポケットに収納していたジレが落ち、リア変速機に絡むアクシデントがありました。

ASに到着してIさんが居なかったので、これはしまったと落車などが頭をよぎりましたが、そうではなく、怪我もされていなかった様なのでほっとしました。買って貰ったばかりのジレは汚れてしまいましたがね・・・怪我はなくてホントに良かったです。


昨年一人で走った時には、75㎞地点のここまではノンストップでしたが、今年はここまでに3回も補給しています。

速く走った昨年より、ゆっくり走った今年の方が摂取カロリーが多いってどういう事なのでしょうね(笑) でもそれが楽しいのです。

仲間と一緒に、ああだこうだ言いながら提供されるご当地補給食を頂くのは、ホント楽しかったですね。

ここではお握りとアンパンが振舞われていましたが、おにぎりのご飯はとても美味しく、パンの生地も良い香りがして美味しかったです。


さて、鷲崎を後にして、向かうは両津BS。

BSと書いて弁当ステーションです。

両津までのルートは、比較的平坦の多い区間となりますが、心配していた風もそれほど向かい風となっていません。

あまり印象がない程安泰に進められた区間だったと思いますが、お二人はどう感じていたでしょうか・・・


そして両津BSに到着です。

ここでは昨年、ルーを大盛りにされてえらい目に逢ったカレーが食べれます。

今年は大盛りでもなんでも来いやぁぁ!と言った感じで楽しみにしていましたが、期待に逸れずとても美味しいカレーが食べられました。なんとイカ墨カレー。

お二方も、ここまで順調に走られています。

経験豊富なIさんは流石ですが、昨年の130㎞以上は未経験のAさんも、私が特にペースに気を遣うような事もなく、表情も明るく元気に見えます。


椅子に根をおろさない様に、両津を後にします。


佐渡の210㎞の目立たない難所として、両津から小木までの区間があります。

どういうことかと言いますと、ここまで100㎞を走り、多くの方が普段日常的に走る事の少ない100㎞以上の距離の領域にこれから入ると言う事、両津から先は、多くの場合向かい風基調となる事、前半のツケを少しづつ、若しくは一気に払う事となる疲労感に襲われる事が、私が勝手に難所と位置付けている所以なのです。

Aさんはいよいよこの領域に入って行く事になる訳です。


恐れていた通り、このルートでは向かい風に苦しめられます。

競技選手の様に、前の人にぴったりと車間を詰める事は難しいし危険な為、私が前を走っているとは言っても、それ程風を避けれる訳ではありません。

実質、一人で走るよりも少しはましと言う状況の中、お二人ともとても頑張っています。

でも、ふと後ろを振り返れば、お二人の後ろには20人程のトレインが出来ています(笑)

あんた達さぁ・・女性に引かせてないでちったぁ前出ましょ(怒)


そして小木までの間にある多田ASまで来ました。

可愛い地元の子供達に癒されます

ここまで向かい風には結構苦しめられましたが、Aさん曰く210㎞に参加してこれが食べたかったと言う念願の笹団子がここにはあります。その他にもドーナツがあったり、地元の子供たちから手渡しでこれらを頂き、とても癒されました。

ツアーを企画する際、ひそかに注目していたムシロカカオクラブの一品もここに!ラッキー


ここからは、島の南端に位置する小木までの区間が始まります。


この区間からは疲れもかなり感じるようになる他、サドルに座るお尻の痛さとの戦いも始まります。

ずっと座りっぱなしの態勢だと、多くの方がこのくらいの距離でサドルに座る事が苦痛になってくるものです。かく言う私も、今年は同じ態勢でのペダリングが多くなり、痛みを感じながら走っていました。後ろに人が付いていると思うと、気にしてダンシング等をしなかったせいも有ります。

逆に後でAさんに聞くところによると、足を止めて腰を上げているうちにどんどん離されてしまう事があり、なかなかそれが出来なかったとの事。

そっか・・・これは反省しなければいけませんね。気が付きませんでした・・・


小木まで来ました。

キツイ坂があるのはここからだと言われていますが、逆に、ここまでくれば後の距離は大した事はないとも感じれます。

ブルぺで長距離に慣れているIさんは、むしろ長距離と思っていなかったりするのかな・・・

でも130㎞以上は走った事のないAさんは、未知の領域を更新中、疲労の様子も見て取れます。

ここでしっかり補給をして、セルフストレッチスペースがあったのでストレッチもして回復を図ります。

ここでは豚汁とお握りが振舞われましたが、いい味です。味噌の旨味と豚肉の甘さが体にしみました。

さあここから次なるエイドまでの間には、最大の難所の太鼓坂があります。

毎年ここに来て足をついて歩いてしまう方は意外と多く、実は私も足がここで攣ってしまった事もあります。

実はAさん、この坂の為に、後ろのスプロケットに34Tを付け替えてきました。

これまで付けていたローギアは28Tなので、大幅に軽いギア比が使える事になります。これが功を奏する事となるか・・・・

太鼓坂が始まり、いきなり勾配もきつくなります。

意外と長いこの坂ですが、時間をかけて登ってもいいので、躊躇なく軽いギアを使います。

Iさんも、この坂はマイペースで先行します。

ここまでの疲労に追い打ちをかけるように急勾配の峠は続き、やはり歩いていたり立ち止まって足を伸ばしている人もちらほら・・・

Aさんも苦しそうですが、視線を下に向けながらでもペダリングを止める事はありません。

表情から笑顔は消えていますが、なかなかの根性です。

太鼓の音が聞こえてきたら頂上はすぐそこなのは分かっていますが、なかなか太鼓の音が聞こえてきません。それでもペースを維持してペダリングを続け、ようやく太鼓の音が聞こえてきました。

そして鼓童の方達による太鼓に迎えられながら頂上!! 

よく頑張りました!太鼓坂クリアです!

初めての距離を大幅に更新しながら現れたこの坂でしたが、諦めず集中して登り切ったのはカッコ良かったです!三人で喜びました。


ここから先は最後のエイドのある素浜を目指しますが、残りの距離も見えてきて、逆に元気が出る区間でもあります。

ただ、素浜ASを出た直後にある最後の難所の坂は、地味にキツイ事で知られています。

その為、そこで使えるエネルギーを素浜エイドで摂っても遅すぎますので、太鼓坂頂上の直後に摂っておく必要がありますが、ここで流動食であるエナジージェルが威力を発揮するので、その旨伝えます。

持っていなければ、私の背中にはスペアの用意がありますとも。

残りの距離は約40㎞、相当ゆっくり走っても、制限時間に引っ掛かる事はもうありません。

素浜に向かう海岸沿いの道を進み、いよいよ最後のエイドの素浜ASです。

残りの距離は26㎞まで来ました。

ここでは佐渡の郷土菓子である「しんこ餅」が毎年振舞われます。

佐渡産のお米と小豆餡で作られたこのお菓子は、 “女の子の成長をお祝いする郷土菓子”と言われています。まさに今日のAさんの為のお菓子とも言えるのでしょうかね(笑)


そしていよいよ最後の難所坂、エイド直後の坂が現れます。

ここも軽いギヤを使い、足の痙攣を誘発させない様にゆっくり登りますが、距離も短いせいか意外と楽にクリア出来ました。

ここまで来れば、もう難所はありません。

途中宿の前を通るのですが、いつも応援と称してビールジョッキ片手に盛り上がる先着隊が居ません。三人でで口裏合わせて、せっかく余裕の表情を作ったのに肩すかしでした(笑)

こうして佐和田の町まで戻ってきた我々は、心地の良い達成感を共有しながら、無事に今朝スタートを切った同じラインのゴールにたどり着く事が出来ました。

そして文字通り、この佐渡島をまるっと一周走破した事となりました。

怪我や、深刻なトラブルもなく完走出来た事にも感謝です。


210㎞と言う距離は、決して簡単な距離ではありません。

普通にお仕事をされている社会人が、そんなに普段走る機会のない距離だと思いますし、身も心もそれなりに準備は必要だと思うのです。

この佐渡ロングライドでは、交通の混雑に邪魔される事なく、それぞれの走り方で思う存分にこの長距離を楽しむ事が出来る、数少ないとても貴重なイベントだと思っています。

今回は初210㎞のAさん、ブルぺレディのIさんと3人で協力して完走する事が出来ましたが、いつにも増してゴールで達成感を感じる事が出来た、そんな今年の佐渡ロングライドとなりました。


今夜の晩御飯はさぞかし美味しく食べれる事と思いますし、いいお酒も呑めそうです(笑)


さてゴールで達成感に浸った後、宿に戻るには来た道を約10㎞走る事になります。

朝の10㎞と合わせれば、合計230㎞・・・

でも宿までの帰りの10㎞は、安堵と達成感でとても幸せな気分となるのが不思議です。


こうして、長くも充実した時間となったロングライド本番、ツアーに参加した全員が、怪我や深刻なトラブルもなく、天気にも恵まれて最高な一日を満喫したのでした。


そして夜はお待ちかねのツアー後夜祭(Positivo&Yamaメンバーにて)!

お宿の長浜荘さんから、またもや昨夜を上回るおもてなしを受けます。

Positivo組も、PiacereYama組も入り混じっての盛大な晩餐会・・・・

お刺身の船盛り!

一人一杯づつの蟹や、メカブチップス、バイ貝

カレイの唐揚げ


わざわざお宿を訪ねてきて下さった佐渡汽船㈱のKさんからは、真稜の至!を頂き、皆で味わいました。


こうして夜まで、皆で楽しかった今日一日の佐渡談議に花を咲かせ、今年の佐渡ロングライドを締めくくったのでした。


さて翌朝・・・・

店主は恒例の早朝ライドを楽しみました。

この佐渡に限らず、旅先で早朝にライドをするのは私の個人的な趣味でもあります。

早朝ならではの風景や空気、自然の営みとの出会い、旅先でこれらを感じるのには、自転車はもってこいなのです。


東京に帰る前の、旅の余韻を感じる幸せなひと時

あれ?


こんな出会いも、早朝のこの時間ならではです。

ちなみにこの朝、狸2匹、何羽見たか数えるのを辞めたほどの翼の裏が桜色のトキ、君はこんな朝っぱらからこの山奥で何してるの?と問いたくなる猫君たちとも遭遇・・・


こんな景色に遭遇すると、自転車やってて本当に良かった。

こんなふうにいつも思いますね・・・

さ、宿に帰って朝食の時間です。

決して派手ではない品々なのですが、一つ一つのお料理が体に沁みわたります。


朝食後は皆で積込

皆でやればあっという間でした。

記念撮影


フェリー乗船前、いつもの北雪酒造さんへ

そして船上より小木港を眺めながら出港します。

Thank you Goodbye 佐渡島

今年も楽しい旅が終わります。


こうして、皆無事に東京への帰路につき今年もPositivoの年中行事である佐渡ロングライドが終わりました。

参加者全員が、目立ったトラブルもなく全員完走、落車などの事故もケガも無かった事は、本当に良かったですし、一人一人が無理をする事なくよく用心され、それぞれがしっかりと準備を整えて参加をされたからだと思っています。

金曜日の夜出発と言う初の試みでしたが、皆平日のお仕事でとても忙しい中、こんな企画にも

お付き合い頂き感謝です。

今年ご参加頂けた皆様には、今回の企画は楽しんでいただけたでしょうか・・・・


今年の旅の良かった点、改善すべき点などよく反省してフィードバックし、また来年もこのツアーで「楽しかったです」と皆様に笑顔を頂ける様、今後も工夫をしていきたいと思っています。


ご参加された皆様、本当にお疲れ様でした。

そして皆でこのツアーを楽しく盛り上げて頂き、ありがとうございます。


そして来年も、穏やかで美しいこの島で、また一緒に走りましょう。


店主でした

Positivo

プロチームの元メカニック永井孝樹が運営するサイクルプロショップ。ロードバイクなど、スポーツバイクのことならお任せください。初心者から、上級者まで、丁寧にご相談に乗ります。世田谷区、目黒通り沿い、東急大井町線の等々力駅から徒歩3分。